フーテンの寅さんに見る幸福論。実らなかった不妊治療と未来を苛む女へ

(再びパーソナリティ)

今井通子:
お分かりいただけましたかあ?

相談者:
はい

今井通子:
うん
なあんか、ストレスになることはないの?

相談者:
やっぱり、やったことが結果に出なかったっていうことだと思います。

今井通子:
あー、じゃ、不妊治療か。

高橋龍太郎:
ああ

相談者:
はい、そうです。
やっぱし、し、心の底には、そこに、辿り着くんだと思います。

今井通子:
これはちょっとねえ、恋人を失っ、にフラれちゃったみたいな、ところがあるからあ、

相談者:
・・

今井通子:
そうスグには治らないと思う。

相談者:
はい

今井通子:
うん
で、ちょっとお、2,3年から、4,5年かなあ、長い人は。

相談者:
うん

今井通子:
気になったまんまあ、行くと思いますよ。

相談者:
・・
そうですねえ

今井通子:
うん

相談者:
はい

今井通子:
だけどお、失っちゃったものはし方がないので、

相談者:
はい

今井通子:
とりあえず気になっててえ、悔しいと思いつつも、もう次の何かした方がいいと思う。

相談者:
それは、分かってるんですけども、

今井通子:
うん

相談者:
どおしても、あのお・・

今井通子:
や、だから、も、次の就職、先決めた方がいい。

相談者:
はい

今井通子:
で、仕事をしているうちにい、そのお、ずっと溜まっていっているストレスがあ、ずうっと溜まった状態になっ、ならなくなると思う。

相談者:
・・

今井通子:
それを忘れなきゃなんないほど、要するに、緊急のなんとかとか、色んなことあるじゃないですか。

相談者:
はい、はい

今井通子:
そういうのに直面しているうちに、その、その都度、ストレスが解消されるからあ、

相談者:
はい

今井通子:
うん
むしろ、だから、仕事をしている方がいいと思う。

相談者:
はい、分かりました。

今井通子:
うん、だから、迷ったりい、寂しいとか、虚しいとか思って、この気持を変えてから行こうとかっていうんじゃなくて、

相談者:
うん

今井通子:
すぐ、仕事に、就職口を探しに行った方がいい。

相談者:
はい

今井通子:
うん
大丈夫かな?

相談者:
はい、やってみます。

今井通子:
はい

相談者:
はい

今井通子:
じゃ、そういうことで

相談者:
はい
ありがとうございました。

今井通子:
はい、どうも、失礼します

高橋龍太郎:
お大事に

相談者:
失礼いたします。

(内容ここまで)

龍太郎 「あなたの人生が僕にはオセロに見える」

上手いこと言うねえ。
50女を泣かしよってからに、都内ビル持ち精神科医が。

 

人の映画の解釈にモノ言うのが無粋なのは百も承知だけどさ。
ちなみにアタシは全48作を全部観た。
BSで (^o^)

寅さんが他人の幸せを願うのはその通り。
自分が心寄せたマドンナの恋の成就を心から祝福する。(*)
「良かったなあ」

だけど、観ている人の共感を呼ぶのは、寅さんが一人になったときに見せる哀愁だ。
もちろん、その内心をセリフで吐くなんてことはしない。
究極のダンディズムだ。

(*)心寄せたマドンナ:
映画では寅さんは毎回フラれるという設定なのだけど、それは寅さんの方から身を引くからだ。
もし、マドンナの願いを叶えようと奮闘する最中に、寅さんが男を出したとしたら、マドンナは落ちる。

もちろんそんなことになったら、シリーズはそこで終わってしまうのだが。

 

さて、
(生殖年齢の)女は子どもが欲しい。
(生殖年齢の)男は一人でも多くの女とセックスしたい。

こういうのはわたしたちの遺伝子に書かれたプログラムだ。
ま、本能だ。

これは別に遺伝子を解読する必要なんてなく、進化論で説明できてしまう。
つまり、その本能を持たない種はとっくに絶滅して、この世に存在していない。

だから、確率的にたまに発生する異常遺伝子を別にすれば、
「子どもなんていなくてもいい」
「女なんて欲しくない」
こんなセリフが嘘だということをわたしたちは知っている。

ただ、そこに社会的な問題が加わるからややこしくなる。
つまり、
「仕事がしたいから」「経済的に苦しいから」
「面倒くさいから」「モテないから」
こういう枕詞がつくと、上のセリフも嘘じゃなくなる。
わたしたちは、そういう時代に生きてるわけだ。

子どもが出来ないという異常遺伝子(あくまで進化論)を創るのなら、同時にセットで子どもは欲しくないという設計図に書き換えないといけないのに、神様は注意散漫だ。

 

だからといって、生殖期を過ぎた今日の女が、今も相変わらず子どもが欲しいと思っているわけではない。

今も女を苛(さいな)む源泉、これは劣等感にある。

ただし、子どもが欲しいという感覚が本能だとしても、子どもが出来なかったという劣等感は本能ではない。
貧乏という劣等感は周りが全員貧しければ生じないからだ。

存在を消すことは出来なくてもコントロールはできる。
要は心の持ち様で、これが今井さん、龍太郎のアドバイス。
女も分かってるんだけどね。頭では。

加藤先生に言わせると、まずはネガティブな感情を認めてあげる。
この言い回しは別に間違いじゃないよ。
自分で自分の感情を認めてあげる、優しくね。
自分にだけは嘘をついてはいけない。
自分に嘘をつくと、問題の所在を見失って、対処を誤る。

認めた上で、湧き上がる感情のモンスターをどう手懐けるか。
すましてるけど、みんな苦労してることだよ。

 


フーテンの寅さんに見る幸福論。実らなかった不妊治療と未来を苛む女へ」への8件のフィードバック

  1. なんか、放送を聞いていて、
    イライラしてくる相談者だった。

    子どもがいないことが虚しさに繋がってるらしいが、

    回答者の言うとおり、
    子どもがいるから必ず幸せとは限らない。

    肺がんを患った夫の健康が心配というのは分かるが、経過は異常なしということだし、公務員だったら経済的な心配はなさそうだし、なにをそんなにメソメソグジグジする必要があるんだ。

    子どもがいたって、不登校、ひきこもり、いじめなどなど、心配ごとは山ほどあるし、自分のことじゃないからなおさら、心配は募る。

    なにが不満なのか、
    相談者に腹がたって仕方なかった。

  2. 本来、妊娠・出産・子育てに使うはずだった膨大なエネルギーを他で活用されている女性を数多く知っています。

    どこでどんな生活をしていても、悩まないと気が済まない人って居ますね。この相談者さんは “悩みが無いのが悩み”・・? 
    人間、暇だとろくな事考えません。今井先生のおっしゃるように仕事をされると良いと思います。そして今度は職場での具体的な出来事で悩んでみては?

  3. 先生方のお言葉は、相談者さん十分にわかってあると思いますよ。
    16年近くも不妊治療受けその結果恵まれず、相談者さんのお気持ちを考えると察するところです。
    16年近く辛い治療を頑張ったことを認めてほしかっただけではないでしょうか?
    ですから、これからの人生も頑張っても良い結果が望めないと厭世的になられてあるのでは?
    長い間頑張った分これからは子ども以上の幸せが待っているはずですから、相談者さんには空を見上げて生きていってほしいです。

  4. 無い物ねだり、これにつきる。
    無くてけして得られない、得られなかったものに固執するのは永遠の地獄。
    足りるを知らなかったら幸福なんて一生無いよ。

  5. いやぁ子供が授からない、そりゃショックでしょう。不妊治療の末に授からなかったら尚更。
    子供がいたって悲しい家庭もあるよ〜なんて極論言われたところでなんの慰めにもならないですよ。
    私は上のヴィヴィアンさんに同意です。

    1. 私も匿名さんに同意。
      子どもがいても悩みはある云々とは次元が違うよ。むしろ、傷口に塩だね。
      自分の子どもを育てる悩みや苦労なんて、そんなのは親なんだから当たり前とも言えるでしょ。大変だけど、自分で選んだ結果なんだから。

      管理人さんも触れてるけど、不妊って治療も出来るけど、人間の本能であり、神の領域でもある。
      悩みの種類としては、数日前のペースメーカー持ちの中学生に近いんじゃないかな。

      その道を選ばざるを得なかった時の心の持ち様って、人生をどう生きられるかの分かれ目だ。
      相談者の人生が、不妊の悩みだけで終わりませんように。

  6. 「自分のお腹から産む」ということに、他のものでは代替できない意味を感じるから、しんどい治療を16年もやり続けられるんだろうなって。
    人の産んだ子供では解決できないんですよねこういうものって。
    にしても16年ってすごい忍耐。

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