テレフォン人生相談　2020年10月3日　土曜日

取り壊しに伴って退去したが、敷金を返してもらえない。
理由は（キッチン汚損のせいで？）リース会社から請求されたからとかなんとか。
これ以上返還の請求を続けるなら、退去の遅れによって生じた多額の損害賠償請求をすると言われた。
相談者の都合で退去を１週間延期したのは事実。

 

一昔前は敷金の返還は貸し主の胸先三寸。

何年か前に、誰かがこの慣習に意義を唱えて敷金返還訴訟を起こし、マスコミが取り上げて、それから雪崩を打つように。

最高裁の見解は、坂井眞弁護士のレク通り。
通常使用による経年劣化は家賃に含まれる（貸し主負担）。

敷金は全額返還ありきで、もし借り主の落ち度による要修復箇所があればそれを明示しないといけない。

貸し主は業者に支払った領収書を添付した敷金精算表なるものを作成し、借り主の了承をもって返還するのがホワイト不動産のやり方。

 

問題はブラック不動産。
今日の相談者だ。

不当な請求なら無視すればいいだけなんだけど、返還は彼らの自発的行為に委ねられている。
これがすごく難しい。

これからアドバイスに従って役所に連絡するんだろうけど、役所が動くことはない。
「国民生活センター」を紹介される。

だけど、ここも期待できない。
何ら強制力を持たないというのが一つ。

もう一つはケンカ両成敗。
相談員が不動産屋の言い分を聞けば、退去のドタキャンを持ち出すに違いない。
これでもうセンターは動くことができなくなる。

最後の手段は訴訟。
幸いにも少額訴訟の範疇。

だけど、ここでもネックは退去のドタキャン。
敷金は原状回復だけでなく、滞納家賃など、幅広い債権に当てることができる。
そもそも、判断の分かれる事件は少額訴訟になじまない。

仮に受理されたとしても、相手方は通常訴訟に移すことができる。

これやられると審理一日の即日判決で済むハズだったのが一転、年ベースの戦いを強いられる。
月イチで平日休みを取りながら。
最高でも16万円のために。

 

奥さんの急病はし方ないとはいえ、当日キャンセルと言うじゃないの。
セルフ引っ越しだからこんなことが出来たのね。

たかが1週間、されど1週間。
坂井弁護士はドタキャンの理由なんかより訊かなければいけなかった。

予定の退去日は月末だったのか？
延期した1週間が賃貸契約期間内だったのか？それとも、期間外だった（賃貸契約期間を延長した）のか？ということ。

占有権内の延期か
占有権の延期か？
一字違いで大きな違い。

賃貸契約期間内だったからこそ、気楽に延期したんじゃなくて？

もしそうなら、損害賠償とかイチャモンにすらならない。
国民生活センターのあっせんで片がつく話。
最悪でも少額訴訟で全額返還を勝ち取れる。

 

パーソナリティ：　加藤諦三
回答者：　坂井眞（弁護士）

相談者：　男４６歳　妻３９歳　娘１２歳　３人暮らし

今日の一言：　なし

加藤諦三：
もしもし？

相談者：
あ、もしもし？

加藤諦三：
はい、テレフォン人生相談です。

相談者：
あ、はい、よろしくお願いしますう。

加藤諦三：
最初に、年齢教えてください。

相談者：
えーと４６歳です。

加藤諦三：
４６歳・・

相談者：
はい

加藤諦三：
結婚してます？

相談者：
あ、してます。

加藤諦三：
はい。奥さん何歳ですか？

相談者：
えーと３９です。

加藤諦三：
３９歳、お子さんは？

相談者：
・・えーとお、１２歳・・

加藤諦三：
はい

相談者：
の女の子です。

加藤諦三：
・・はい、分か・・あ、３人で暮らしてんですね？

相談者：
はい、そうです。はい

加藤諦三：
はい、分かりました。それでどんな相談ですか？

相談者：
と先月、アパートを、あのお、退去しまして、

加藤諦三：
はい

相談者：
敷金・・が、あの、大家さんのほうから返って来ないっていうことなんですよ。

加藤諦三：
はい

相談者：
で・・退去の理由が、アパートの取り壊しということだったので、

加藤諦三：
はい、はい

相談者：
「敷金は返しますよ」という話を、伺ってたんですけど。あのお・・

加藤諦三：
はい

相談者：
ま、出てから、あのお、「返してください」っていう旨を、伝えたら、
「キッチンが汚い」、とかっていう理由で、退去の・・

加藤諦三：
だけど、た、退去・・

相談者：
はい

加藤諦三：
と、取り壊しだから、あな、たの意思で退去したんじゃなくて、

相談者：
あ、はい、そうです。ええ

加藤諦三：
取り壊した相手の・・事情であなたが退去したんですよね？

相談者：
あ、はいそうです。

加藤諦三：
はい、はい、はい

相談者：
ええ、でえ・・

加藤諦三：
それだけど、敷金が？・・返って・・

相談者：
ええ

加藤諦三：
来ない？

相談者：
そうですね。
返って、返って、要は「返せない」というような、ことを言われまして。

加藤諦三：
返せない理由が、今・・

相談者：
ええ、その理由が２つありまして、

加藤諦三：
はい

相談者：
取り壊しだったので、

加藤諦三：
うん

相談者：
えーと「部屋」あ、「は」、あの、要は、あのお、「荷物をしっかり片付けてくれれば」、あの「特に掃除はいりませんよ」っていう話だったので、

加藤諦三：
ええ

相談者：
キッチンとかも、まあ、決して綺麗な状態ではなかったんですけど、荷物とかは綺麗に片付けて、あの・・

加藤諦三：
はい

相談者：
退去したんですよ。

加藤諦三：
はい

相談者：
で、そしたら、あとから、リースなので・・リース会社のほうから、

加藤諦三：
はい

相談者：
あのお、お、請求が来たと。
で、それが・・

加藤諦三：
リース会社のほうから、請求が来たっていうのは、その大家さんに請求が来たっていうこと？

相談者：
ええ、そういうことですね。

加藤諦三：
はい

相談者：
ええ、ええ
ええ、なのでそれが１８万円掛かるので、敷金から引かせてもらいます」みたいな・・話・・

加藤諦三：
で、リース会社が１８万っていうのは、ん、なんの理由なんですか？

相談者：
んー、どういう、理由だったか？の、深い理由まではちょっと聞いてないんですけど。

加藤諦三：
あーそうですか、はい、はい

相談者：
ええ、ええ、ええ
あ、ま、とにかく、ま、ちょっと、汚いから、ま、要は現状復帰というんですかね？、あの・・

加藤諦三：
ん、はい、はい

相談者：
ええ、ええ、そういう状況に・・して、ほしいという・・で、もう１つの理由が、あのお、退去を、をすると、言った日にちよりも・・

加藤諦三：
はい

相談者：
あのお、僕の、あの、わたしのほうがあ、１週間ほど、遅くなったんですよ。

加藤諦三：
あーそうですか。

相談者：
ええ、ええ。で、一応、ま、その旨は、あの、退去お、の予定の日にちに、まあ、向こうへ連絡して、
あの「ちょっと申し訳ないけど１週間ほど」あの、「退去の日がズレます」と。

加藤諦三：
はい

相談者：
あの「遅くなります」っていう旨は、一応伝えたんですけど。

加藤諦三：
はい、はい

相談者：
ええ
あの、ま、一応それは了承はしてくれたというか、あの「来週から、解体の足場の工事が入る予定だったんじゃないかなあ？」みたいな、ニュアンスの返答が返って来て、

加藤諦三：
はい

相談者：
ま、どっちにしろ、１週間はちょっと、延ばさせてもらって退去をしたという・・

加藤諦三：
はい

相談者：
形だったんですよ。

加藤諦三：
はい

相談者：
で・・工事の「足場の」・・「工事が入れなかった」、ということで、あの「工事が遅れたことに対しての、請求が」・・「来ますよ」と、いうことなんですよ。

加藤諦三：
は、はい

相談者：
ええ

加藤諦三：
要するに・・足場の工事っていうのは・・代理人とか、なんではなくて、工事の、会社の話ですよね？

相談者：
そうですね、あのお、ま、大家さん側はあ、が、頼んでるう、

加藤諦三：
はい

相談者：
足場の工事が入れなか、ったのは、それで入れなかったという・・

加藤諦三：
はい

相談者：
その、ま、要は損害を＆#△

加藤諦三：
要するに、あ、あ、足場を作ると、あの、の、工事ができなかったということね？、はい

相談者：
ええ、ええ、ええ、ええ、え、ええ

加藤諦三：
はい、それで？

相談者：
で、あのお・・ま、要は、あの・・「これ以上は敷金の」、あの「請求をするなら、そういう物を引っ括めて」あのお・・「すごい、大きな金額を請求しますよ」という、ことで、あの、こっちに、メールが来たんですよ。

加藤諦三：
はい

相談者：
はい

加藤諦三：
で今日のあなたの相談はあ、

相談者：
ええ

加藤諦三：
この要求は不当ではないか？という・・

相談者：
はい、ええ

加藤諦三：
そういう相談ですか？

相談者：
ええ、そうですね。

加藤諦三：
はい、分かりました。
今日は、あの・・弁護士の坂井眞先生がいらしてんので、伺ってみたいと思います。

相談者：
はい

（回答者に交代）