認められるか?人道的見地からのデイサービスの不手際。高い社会的相当性の壁

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
いずれにしましても・・

相談者:
はい

ドリアン助川:
どこかで決断を下さなければいけないわけですよね?

相談者:
・・はい

ドリアン助川:
はい

相談者:
分かりました。

ドリアン助川:
はい・・

相談者:
はい

ドリアン助川:
よろしいでしょうか?

相談者:
ありがとうございます。

ドリアン助川:
はい、失礼いたしまーす。

相談者:
はい、ありがとうございました。

(内容ここまで)

訴訟を起こしていいかもしれん。
転んでアザが出来たとかならいざしらず、結果が重すぎる。

色んなところで言われていることだけど、脳梗塞を疑ったのなら、救急車を呼ぶのに躊躇はいらない。

一時間の内訳がいまいち。

一報目でなんと言われたのか?
妹は「すぐ行きます」とでも言ったのか?
救急車の要請に応じなかったのは電話連絡の時点か?妹が着いてからのことか?
etc.

 

男の真意

朝元気で送り出した母親が、寝たきりになって帰ってきた。
北朝鮮に拘束されたわけではない。

異変に気づいたときの状況や対応について十分な説明がないと家族は納得できまい。

保育園で起きれば重大事案になることが、デイサービスだとスルーされるのは、やはり変だ。
扱いに差があることが当然だとしても程度問題。

大迫さんの溺れた子どもの例えは、社会的相当性の説明としてはとても分かりやすかった。
もし男の母親が公園のベンチで発症していたら、その例がそのまま当てはまることだろう。

でもデイサービスは、高齢の要介護者の利用を前提とした、国が認定するプロの専門業者。
当然に起こるであろう事象を想定した相応の善管義務(善良な管理義務)が課せられる。

男だって、何もデイサービスにパーフェクトを求めているわけでもあるまい。
では、何に気が収まらないのか?

こういうケースで家族の感情を逆なでするのは、業者の隠蔽体質だ。

職員が言う「契約書を見てくれ」
これは、契約書に謳ってある免責条項のことを指す。

デイサービスに限らず、無限の責任を負えるハズはないし、その責任がないことを明記するわけだ。
そんなのことは百も承知で、男もそこは問題にしていない。

問題は、免責条項が効くのは、上で言った善管義務を果たしていることが前提だということ。
男の言葉が足らないが、たぶん問題にしているのはそこなの。

 

損賠賠償請求訴訟の隠れた機能

近代国家では、加害・被害が発生しても、故意や重大な過失でもない限り刑事責任は問われない。

その代わり、回復しようのない被害については、それを金額に換算して、加害者が被害者に支払うことによって永久解決を図る。

回復しようのない被害とはモノや身体だけでなく、心や感情も含まれるし、浪費した時間、将来得られたかもしれない生活も含まれる。

他人は「どうせカネが目的だろ」とか色んなことを言うが、御免だけじゃ気が収まらない場合、賠償金以外に揉め事を平和裡に終わらせる術を現代人は持ち合わせていない。
裏社会ですら誠意とはカネの隠語だ。

このうち、当事者どうしで解決を図るのが示談と呼ばれるもので、それが出来ない場合、被害者には2つの選択肢がある。

一つが泣き寝入り。
もう一つが民事訴訟だ。

しかし、実は、民事訴訟には別の機能がある。

こうした経験のない幸せな人は知らないだろうが、損害賠償請求訴訟を起こす目的が、賠償ではなく、「何が起きたのかを知りたい」と言う原告は多い。

そういうとき、謝罪や説明だけを求める訴訟もあり得なくはないが、原則それは調停までだ。

訴訟を起こすには、具体的な被害の大きさを示さなければ、裁判所だって、「オレたち何を判定するの?」となる。
被害の大きさとは金額。

訴えられた業者はそこで初めて自分たちに非がないことを説明する必要が出てくる。
被害者に対してではない。裁判官に対してだ。

もちろん、その説明とは、契約書の免責条項の有無などではない。
善管義務が果たされていたか否か。
何が現場で起き、自分たちは何をして、何をしなかったのか?ということ。

分かっていただけたかしら?

業者が説明責任を果たそうとしない場合、それを行わせるためには損害賠償を請求するしか方法はないわけだ。
原告にとって、勝ち負けは問題ではない。

 

舐めた態度をとる業者だから疑われるこんなことやあんなこと

デイサービスには国の認定基準がある。
施設などのハードはもちろん有資格者の人数、利用計画の策定、運営規程の公開と遵守、利用者あたりの職員の人数・・

そして、一旦認定を受けてしまえば、ときおり実施される監査に気をつけておけば遵守しなくても分らない。

てか、経営者の立場からすると、違反を犯す誘惑だらけ。
現場の職員は認定基準なんて知らないから、忙殺されていてもこんなものかと思うだけ。

当日の体制のエビデンスはきっちり提出してもらおう。
法定研修受講の有無も確認しよう。

叩けば大小のホコリが出る可能性は小さくない。

 

男は訴訟代理人になれる

大迫女史が言葉足らずなので、男のために補足しておこう。

さっきは訴訟の動機が賠償金に限らないことを書いたが、母親の成年後見人に就いた弁護士は、勝ち負けを無視した訴訟を起こせない。
利益相反となるからだ。(負けても報酬を受け取れる)
そんなことすれば最悪、成年後見人の解任。

だが、
結論から言うと、男は母親の成年後見人に就いて訴訟代理人になれる。
ネックは自分を成年後見人として申し立てるには、兄と妹の署名・捺印が必要なこと。
あまり仲が良くなさそうだし。

だから、その意図を丁寧に説明して説得しないといけない。

成年後見人に就いたら、100%アンタの判斷で訴訟を起こせる。
弁護士後見人と違って利益相反にならないからだ。
弁護士に頼んで示談交渉から入ってもいいし、本人訴訟でもいい。

本人訴訟だと必要なのは印紙代だけ。
必要に応じて有料の法律相談を活用すれば十分戦える。

てか、目的は説明責任を果たしてもらうこと。
賠償金はダメ元。
見舞金ぐらいとれるかもしれん。

てか、乗り込んで行って、カネを請求しちゃダメ。
大声を出そうものなら脅迫とされかねない。

大声出さなくたって、弁護士以外が金銭で話をつけようとすると裁判所を通すしかないの。

まずは、調停を申し立てて本気度を見せればいい。

 


認められるか?人道的見地からのデイサービスの不手際。高い社会的相当性の壁」への7件のフィードバック

  1. 大迫砲炸裂案件の匂いもしたんですが、前係の感情論でこようとしているところを正道で諭しましたね。職業からのアドバイスがいいほうにでた回だと思います。

  2. 死ぬのって難しいよなぁって思う
    80過ぎて何か起こったら多分天国からお迎えがきたってことでしょう。と私は思うのですが家族として救急車呼ばざる得ない、色々処置されちゃってね、とんでもない状態で出来上がっちゃって退院、家で見られない、施設探すけど見つからず~ってあるあるネタですよね。
    デイサービス訴えるの?そうくるか?
    ほかの年寄りの家族が。次見つけるの大変かと思うけど。下手するとデイサービス自体なくなっちゃうんじゃない?やってらんないよね。

    私は子育て終わってから、手遅れのガンが見つかり余命3ヶ月死にたいです。痛み取ってもらいつつ。ありがとうって言ってから。最高!

  3. 各家族でいろんな思いが、あるから人を預かる仕事は大変ですよね、基本的にデイに落ち度はないと思う。
    救急車呼んでナース付き添っていったら、こんど、行政から人員不足とかで、返戻スレとか言われるし。
    医療もそうだけど、現場と理想を求める家族のケアのあり方ってすごく乖離してるから。現場スタッフは辛いところだとおもいます。
    介護に理想求めるなら、介護保険料10倍でも、足りないですよ。

  4. 管理人さんの説明で良くわかりました。
    今回は大迫先生の回答だけじゃ何だかすっきりしなかったので。
    頼りになる管理人さんです!

  5. たぶん、相談者には兄妹がいて仲がよくないんだろうな~
    と最初から聞いてましたが、やっぱりそうでした
    医療現場での延命期で大騒ぎするパターンの典型かと
    癌、脳卒中、心不全
    どれも死にに直結する症状ですが
    病院やサポートが起こしたのだと勘違いされてませんか?
    もちろんその後の対応を問題としている内容ですが
    ほんとうに冷静になった上で相談されてます?
    それを踏まえて対話するご家族と
    感情むき出しで道理を飛び越えてしまう方がいらっしゃいます
    相手側の話もろくに聞かず受け入れたくない結果が先行する
    この相談者に攻撃的感情過多を感じなければ別ですが・・
    まず相手を疑う。感情的性格
    内面ではなく外面に向かう。攻撃的性質
    たぶんご兄妹にこの相談者さんの成様を聞いたら
    当たってませんかね?
    だいだいそんな人は嫌われるわれてるわけで
    兄妹の仲が悪くなるのがパーターンですけど
    縁を切る・・ってやっぱそうなっとるわい
    結果、脳卒中を短時間で処置したならば
    救急車にこだわるのは?
    この相談がいかに感情が先行している現れかと
    発見が遅れた、対応が素人
    ここに相談者側のいきどうりを汲んであげたいが
    あんまりこの人の話信用できないな
    ここまで感情的だと
    ドクターの話も施設側の説明も
    フェアに聞いてないんじゃなかろうか?
    妹さんがいて
    訴えるとか止めてと言われていて
    これまで母親の世話をしてきて
    これからも世話をするのは
    たぶん相談者ではないでしょう

  6. 同じような介護事故にあったことがあります。
    ですので、相談者さんの気持ちにはかなり同調しました。
    事故にあった人のことを大切に思うが故の正義の暴走?でしょうか。
    ただ高齢になればなるほど、身内は面倒をいやがりますので、それ以上騒がないでくれという人も出てきて、仲たがいになってしまうのではとも思いました。

    私の場合は、真実を知りたくて裁判も考えましたが
    高齢の身内には負担が大きすぎたので、色々探したところ
    介護のADRのようなことをしてもらえる組織を見つけました。
    国保連合会の介護サービスに関する苦情申し立てです。
    これを申し立てると、法的責任は問えないのですが、最終的に、介護日誌や、その施設への指導、改善案の提出などを取り付けることができました。
    今はもうその身内は他界してしまいましたが、気持ち的には少しは楽になったので、やってよかったと思っています。
    この書き込みのサイトにリンク先を掲載しておきます。
    https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/general/care_insurance_system/soudan.html
    おそらく各都道府県の連合会に窓口があるのではと思います。
    介護事故に苦しんでいる人に、少しでも参考になりましたら幸いです。

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