弟が事故って一人残された高齢父の面倒看が回ってきた娘52歳の3ヶ月後の愚痴

テレフォン人生相談 2020年9月17日 木曜日

弟と二人暮らしの父82歳。
3ヶ月前に弟が交通事故で重傷を負い、相談者が父親の面倒を看ることに。
最初の一ヶ月は同居して、散らかり放題の家を片付けるなど。
なにかと頑固で言うことを利かない父に困っている。
年金振り込み口座のキャッシュカードも届け出印も見当たらない。

 

まさか、キャッシュカードの紛失で途方に暮れてるのでもあるまい。

父の扱いにしたって、すでに支援機関にも頼ってるし、ここで妙案を期待しているのでもなさそう。

緊急事態(コロナではない)から3ヶ月、今もこれからも大変とはいえ、やることはほぼルーチン化し、やっと愚痴らしきものが言えるようになった。
ここなら罪がない。

とりあえず、孤軍奮闘お疲れさん。

マジレスすると、父親のキャッシュカードは弟の財布の中。
届け出印も弟が知ってるよ。
紛失手続きの前にリハビリ中を見舞うといい。

 

柴田さんに限らないんだが、私たちは結構安易に認知証の烙印を押しがち。

キッチンタイマーを失くしたと思ってたら冷蔵庫で冷やされていた。
脱水を終えた洗濯物が一日中取り出されず。
突然消える持ち物、空焚き、裏返し着用、賞味期限切れ摂取、2回目の歯磨き・・

これらはすべてうら若きアタシの日常だが、同じ振る舞いが年齢によっては素人診断によって認知症にされてしまう。

成年後見人の申請のために母を精神科に連れていったとき、アタシを戒めるかのように医者が言った。

「お母さんは認知症じゃないですよ」

実際、診断書に書かれた文言に認知症という言葉は見当たらず、
「加齢による物忘れや判断力の低下は見られるものの・・」

疾病としての認知症とは、脳に萎縮などが見られること。
これは画像検査で分かる。
母には際立ってそういうものがなかった。

考えてみれば、老眼になったり、耳が遠くなったり、体力が衰えたことを、なんちゃら症とは言わない。
脳の老化だけを特別視。

 

この先、入院はし方ないとしても、母を施設に入れるのはやめようと姉とアタシは決めている。
父の最期は施設で、一人で逝かせてしまった後悔がある。

他人は簡単に放っておけばなんて言うけど、過ぎた時間は戻ってこない。

悔いが残らない親子関係なんてあり得ないけど、自分に訊いてみるといい。
私を娘と認識できなくなったら。
明日、この頑固親父が死んだら。

だからってムリしていいことはないし、アタシと姉の気持ちだって状況が変わればどうなるやもしれん。

正解なんてどこにもないし。

駆けつけて泊まり込んでくれた娘。
嬉しくないわけないじゃない。

何年ぶりかの同じ釜のメシ。
久方ぶりの口喧嘩。

少し縁遠くなっていた父親とアンタを近づけた何かの力。

せめてどうか思い出すことが苦にならない親子の最後のステージを。

 

パーソナリティ: 柴田理恵
回答者: 三石由起子(三石メソード主宰、作家・翻訳家)

相談者: 女52歳 夫58歳 父82歳 父と同居の弟50歳は入院中

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