【日曜に読む傑作選】バレンタインに贈る物語。薄化粧の君に花束を

テレフォン人生相談 2013年6月3日 月曜日
(2017年2月14日 記事アップ)

パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 大原敬子(幼児教育研究家)

相談者: 男29歳 独身 一人暮らし 自死した10年近く同棲の彼女42歳

今日の一言: 実存的レベルでコミュニケーションがある人は自殺はしません。

加藤諦三:
もしもし?

相談者:
もしもし

加藤諦三:
はい、テレフォン人生相談です。

相談者:
よろしくお願いします。

加藤諦三:
はい、最初に年齢教えて下さい。

相談者:
29です。

加藤諦三:
29才、独身ですか?

相談者:
はい

加藤諦三:
えっとお、今はご両親と暮らしてるの?
一人?

相談者:
一人ですう。

加藤諦三:
一人でアパートに・・ね・・なんか・・

相談者:
はい

加藤諦三:
はい、分かりました。
それで、どんな・・相談ですか?

相談者:
えー、つい先日う、ですね。

加藤諦三:
はい

相談者:
10年ん、近くう、連れ添ったあ、彼女を、

加藤諦三:
はい

相談者:
事故でえ、亡くしましてですね・・

加藤諦三:
事故で?

相談者:
はい

加藤諦三:
車の事故か何かですか?

相談者:
な、いえ、えええ・・
ま、あのお、不慮の事故と言いますか・・

加藤諦三:
自殺か何かですか?

相談者:
え、そうです。

加藤諦三:
うーん

相談者:
はい

加藤諦三:
「10年近く連れ添った」という事は、何?結婚してたっていう事?
じゃなくて?

相談者:
いえ、はい

加藤諦三:
同棲してたっていう事?

相談者:
はい

加藤諦三:
・・・10年近く同棲・・ってえ、いうと、その間(かん)結婚しようとは思わなかったわけね?

相談者:
ええ、ええ、まあ、思った事もありますが、

加藤諦三:
うん

相談者:
ちょっとまあ、ダラダラ・・してしまったという事・・ですう。

加藤諦三:
で・・彼女は何才ですか?

相談者:
えー・・42です。

加藤諦三:
42才。

相談者:
はい

加藤諦三:
で、10年近く一緒にい、暮らしてたという事はあ、

相談者:
はい

加藤諦三:
この42才の女性も独身ですね?

相談者:
そうです。

加藤諦三:
・・で、彼女の方からも、結婚しようという話は出て来ない?

相談者:
・・・まあ、はっきりはあ・・言わなかったです。

加藤諦三:
で、あなたはあ、

相談者:
はい

加藤諦三:
結婚しようとは思わなかった?

相談者:
でえ、ですねえ、ま、あのお・・・
つい先日う、あのお・・亡くなったんですがあ、

加藤諦三:
はい

相談者:
ちょっと、あのお、精神的なあ、病気を患いまして、

加藤諦三:
どっちが?
彼女が?それともあなたが?

相談者:
ええ、ええ、彼女です。

加藤諦三:
はい

相談者:
錯乱を起こしてですねえ、

加藤諦三:
はい

相談者:
でえ・・一旦実家の方に帰っておりました。

加藤諦三:
・・はいはいはい

相談者:
はい、でえ、そのまあ、実家はあ・・えー、ちょっとお、遠くにい、ありましたもので、

加藤諦三:
うん

相談者:
はい

加藤諦三:
・・で、その錯乱を起こしたという事お、だと、あれですか?
その、病気というのは心理的な事ですね?

相談者:
そうですね。
その、療養してえ、その精神科に掛かった方(ほう)は、

加藤諦三:
うん

相談者:
実家の方の病院です。
彼女のごじ、実家の病院です。

加藤諦三:
んー、実家の方の病院ですか?
そこで、病院に行ってえ、

相談者:
はい

加藤諦三:
治療を受けるという事で、じ、まあ、今のお、同棲生活からあ、実家の方にい、行ったという事ですよねえ?

相談者:
はい、そうです。
それで、あの、

加藤諦三:
実家の方に行く時にい、

相談者:
はい

加藤諦三:
それで、素直に実家の方に行ったんですかねえ?

相談者:
いえ、あのお・・・「こっちでえ、居たい」と。
ただ、そのお、如何せん、二人なもんでですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
わたしも、あのおお・・会社員なものでえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
ずっとお、付き添ってられなくてですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
またあ、混乱を起こしても、どうしようも・・できないのでえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
「一度、帰ったら?」という事でえ・・・
はい、戻りました。

加藤諦三:
納得してねえ?・・その時、

相談者:
納得かどうかはあ、ちょっとお・・分からないですけど、まあ、あのお、車に・・押し込んでというかですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
まあ、本人から乗って行きましたけどお、

加藤諦三:
うーん

相談者:
あのお、名残り惜しそうに・・

加藤諦三:
うん

相談者:
はい、帰りました。

加藤諦三:
でえ、結局う、その、もう、彼女からすれば、42才で、

相談者:
はい

加藤諦三:
ん、だから32才ぐらいの時からですか?ずっと一緒に暮らしているの。

相談者:
そうですう。

加藤諦三:
そうですよねえ。

相談者:
はい・・・はい

加藤諦三:
でえ、結婚に何か障害があったわけでもないですよね?29、まあ、あなたが19才ですから、ちょっと若い、っていう事は、

相談者:
はい

加藤諦三:
あったかもしれないけれどもお、

相談者:
はい

加藤諦三:
・・・で、

相談者:
無かったです。

加藤諦三:
ん、な・・

相談者:
それが、今の、こう、後悔というか、

加藤諦三:
うん、そうすると、今日のあなたの、こう、相談というのは、そこですか?
かの・・

相談者:
ええ、あのお、

加藤諦三:
はい

相談者:
今日のお、相談はですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
ずっと、連れえ、添って来た中でえ、

加藤諦三:
うーん

相談者:
こんな事態になってですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
(鼻をすすって)あのお・・
何ですかね?あのお、「ずっと、連れ添ってえ、やってくれ」という事でですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
一緒に・・・向こうの実家までえ、送り届けてえ、あのお、お葬式とお通夜あ、出さしてもらってですねえ、

加藤諦三:
うーん

相談者:
でえ・・・あのお、何ですかね・・・
あの・・・まあ、言葉にするのが難しいんですがあ、

加藤諦三:
うん、うん

相談者:
あのお、特に僕をお、責める事なくですねえ、

加藤諦三:
うん

相談者:
振る舞ってえ、頂いたと。

加藤諦三:
うん

相談者:
でえ、ええ、今日のお、相談なんですがあ、

加藤諦三:
うん

相談者:
今後、どのように、お付き合いして行けば・・

加藤諦三:
ああ・・

相談者:
良いものなのかと。

加藤諦三:
うーん

相談者:
いうところです。

加藤諦三:
はい、分かりました。
今日は、幼児教育研究のお、大原敬子先生がいらしてるのでえ、

相談者:
はい

加藤諦三:
伺ってみたいと思います。

相談者:
はい

(回答者に交代)


【日曜に読む傑作選】バレンタインに贈る物語。薄化粧の君に花束を」への2件のフィードバック

  1. なんとか美談にして心を慰めたい男、でしょうか。
    それはそうと、今話題の著作権団体から何かないか、大きなお世話ですが心配です・・。

  2. 時々思い出すこの相談。
    読後、ただ寂寥感が漂います。
    見ず知らずの彼女の心に、思いを寄せて。
    ・・・と書き込んでいたら、シャッフル再生で宇多田が流れてきたw
    Flavor Of Lifeだったけど。

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