相続放棄の効力はどこまで?実家の維持に前のめりの46歳女

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
よろしいですか?
あのお、

相談者:
はい、どうもありがとうございました。

加藤諦三:
お墓についての考え方も、時代によってどんどん変わってきてますからねえ。

相談者:
そうですねえ。

加藤諦三:
ええ。
ですから、今あ・・のこういう時代では、お墓に対するあなたみたいに、考えてる人もいれば、

相談者:
はい

加藤諦三:
も、急速にその考え方を失くしている人もいますのでえ

相談者:
そおですねえ。

加藤諦三:
ええ。
そこらへんのところは、

相談者:
わたしの他の兄弟もそうです。

加藤諦三:
すこし、柔軟に考えた方が、いいかというふうに思います。

相談者:
柔軟に。

加藤諦三:
はい

相談者:
はい

加藤諦三:
はい、どうも失礼します。

相談者:
ありがとうございましたあ。

加藤諦三:
人生は予想もしないことが起きてきます。
あまり先まで考えると、決断できません。

(内容ここまで)

人生相談?

104番号案内サービスの気安さだ。

どうせタダだし、てか。

 

さて、

相談者にとって、家を譲るということは、家柄、お墓を守る責任も包含しているんだな。

だから、長男に譲るといっても、何ら、気前のいい話ではないんだよ。

大迫さんが、「それも、ちゃんと話してね」、と釘を指したのは、そういうこと。

「兄さん、家は全部あげるけど、売ったりしないでね。お墓のこともお願いね」

でも、早晩、維持出来なくなるのは目に見えている。

相談者や妹の子どもを養子にするって気安く言うけど、養子が自らの手間とお金を掛けて、お墓を守り続ける動機って何?

何もないよ。

だいたい、ロクな交流も無い引きこもり叔父さんの姓に変わるなんて、結構な大人になってる子どもたちが承諾するか?

建物だって、もし兄が入籍でもしたら、そのうちタダで嫁に渡ってしまうことになる。
相談者は、兄の結婚に反対するつもりなの?

もう、もたないよ。
相談者に限らず、名家でもない一般人の家系なんて。

妹の言うことが正解。

「失くなるのはし方が無い」

 

昔、長谷川町子オリジナル(*)のサザエさんの四コマ漫画で、こういうのがあった。

振袖を買い求める若い娘が、結婚したら訪問着に、子供が生まれたら七五三にと、仕立て直すことを考えて柄を選ぶ。
それを空から見ていた神様は、娘が明日、交通事故で亡くなることを知って嘆く。

どうなるか分からない先々のことを考えすぎる可笑しさを描いたものだ。
かなり風刺が効いてるけど、今日の内容にも通じる話。

(*)長谷川町子オリジナル:
今では、ほのぼの漫画として知られているけど、これが本来のサザエさん。
作者本人が亡くなって、すでに20年余年だが、生前から、連載終了後にテレビ等で新たに生み出されているサザエさんは、もちろん本人のオリジナルではない。
毒がすっかり消えて、文科省推奨になっちゃってるけどね。

相続放棄と遺産分割協議の譲渡との違い

実は、相談者のケースだと、相続放棄なんかしなくたって、遺産分割協議で十分にその目的は果たせる。

遺産分割協議で、長男にすべて譲ることに兄弟が合意すればいいだけだから。

相続放棄は、例えば、借金によって遺産がマイナスの場合に、相続人の救済手段として用いられる。

よく、単に、遺産を他の相続人に譲る意味で、「相続放棄する」、なんて言う人もいるけど、誤用。
「相続放棄」は、相続の処理における特別な法的手続きである。

遺産を貰わないという結果だけを見ると、どっちでも同じような感じだけど、違いはある。

相続放棄と遺産分割協議の違いは以下のようなもの。

意味の違い:

相続放棄すると、相続人として、存在しないのと同じ。
これが一言で相続放棄の意味を表していて分り易い。
相続人じゃないので、遺産による利益、不利益の一切から無関係だ。

だから、遺産の一部、例えば家だけを放棄するなんてことが不可能だということが分る。

遺産分割協議だと、今日のケースの場合、例えば、家は全て兄に譲るけど、預金からは相談者も分けてもらう、みたいなことが出来る。

手続きの期限:

相続放棄の手続きには、相続の事実を知ってから3ヶ月以内という縛りがある。
一方、遺産分割協議に期限は無い。
だから、別に遺産分割協議はやらなくてもいい。
後々のことを考えて、やった方がいいけど。

今日のケースでも、何もしなければ、家は兄弟の共有財産であり、当面、何の支障もない。

てか、その方が、仮に兄が、入籍⇒死亡なんてことになっても、無条件で家が嫁の手に渡ってしまうことが無い。

だから実は、相談者とっては、何も動かない方がよっぽどいいかも、という皮肉な話。

手続きのやり直し:

一旦、相続放棄が受理されると取り消しができない。

一方、遺産分割協議は、相続人が同意すれば、何度でもやり直し、修正が効く。

ただし、2度目以降の遺産分割は、税法上は相続ではなく、譲渡、贈与として課税対象となる。

そらそうだ。
だって、こうしないと、遺産分割協議が税金逃れの道具としていいように使われてしまう。

 


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