テレフォン人生相談 2020年12月5日 土曜日
校内で息子と女子児童が衝突し、女児には怪我の痕が残る可能性があって、その治療費を全額負担するように要求されている。
応じる必要はあるか?
相手方が面倒くさい人たちにされてしまった。
池袋で車を暴走させ信号を無視して交差点に進入し母娘の命を奪った元官僚が、原因は車両異常であり、無過失・無罪を主張している。
世間がこれを許さないのは、報道によって事故の仔細を知るから。
87歳、
多数の目撃情報、
ドライブレコーダ、
国内累計販売100万台を超えるトヨタプリウス、
車両解析、
レストランの予約時刻、
パーキンソン病、
医師の警告、
:
今日の相談で、弁護士の回答を方向づけたのは保険屋の証言。
曰く 「双方に過失はない」
でもこれを、第三者の客観的な見解のごとく扱うのはおかしい。
相談者の保険屋は保険金を払わないように強く動機づけられているからだ。
隕石が降ってきたわけじゃあるまいし、過失のない事故はありえない。
あり得るとしたら、双方に落ち度を認めた上でそれを同等とする過失相殺。
もちろんそれは一方の保険屋が決められるものじゃない。
よそ見、走り、ふざけ・・
息子くんに、あるいは怪我した女児に訊けば、事故原因なんて分かる。
先生も知ってる。
そして相談者も。
だからこそのお見舞金。
こうした事故に備えて保険に入ってたのに、過失が無いがゆえに機能しないなんて皮肉だけど、実は相談者にとっては大きなメリットがあった。
こっちにはなんの責任もない。
これを自ら主張するにはかなりのツラの皮の厚さが必要だが、保険屋がやってくれたからだ。
相談者 「出会い頭」
これ以上の説明はなし。
だから事故の原因は知らん。
だけど、聞いていて愉快でないのは、正当性を主張するのに営利目的の保険屋に乗っかっていること。
いや、最初は相談者も女児側の要求に保険で応じるつもりだったのかもしれん。
保険屋から拒絶されてしまってこうした主張をせざるを得なくなってしまった。
だけどもし相談者が息子くんの過失を認めれば保険屋に出る幕はない。
それによって相応の賠償責任が生じるけど、相談者の懐は痛まない。
示談金は保険で賄われ、それは女児の後遺障害の治療に充てられる。
息子くんは大人の事情に左右されずにキチンと同級生に謝ることができる。
誰も困らない。
これこそ保険。
しこり、恨みはプライスレス。
落ち度を認めることを許されない小学2年生は不幸だ。
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 塩谷崇之(弁護士)
相談者: 女42歳 夫46歳 息子7歳(小2) 娘4歳
今日の一言: 法的な解決と感情の問題ではまた別です。