生前贈与 に関連する悩み相談
生前贈与とは、生前に行った贈与のことです。
バカにしたみたいな定義と思うかもしれませんが、民法に贈与と用語は使われていても、生前贈与なる言葉は見当たらず、冒頭のような言い回しなのです。
考えてみればこれは当然で、贈与とは、本人が所有するモノやお金の所有権を、
・無償で、
・本人の意思によって、
自分以外に移す行為ですから、わざわざ生前などと枕詞をつけなくても生前に行われるのは明らかなわけです。
いわゆる生前贈与が取り上げられるのは相続のときだけです。
被相続人が相続人に対して行った生前贈与を特別受益と言います。
特別受益は、相続において、未分割の遺産として取り扱います。
生前贈与された金額を、遺産に足し込んで遺産総額を算出するわけです。
これを持戻しと言いますが、多くの場合、この段階では数値上の処理のみで、金銭のやり取りはありません。
お金以外の不動産や動産を生前贈与されたのであれば、それを適切な金額に換価して持戻します。
そうやって確定した遺産総額を相続人で分割し、それぞれの相続分が決まります。
生前贈与を受けた相続人は、相続分から生前贈与を差し引いた残りを受取ります。
もし、相続分よりも生前贈与の方が大きければ、その差額を実際に他の相続人に支払わないといけないわけです。
基本的に所有権を移動する取引には、売買と贈与と相続の3種類しかありません。
売買と相続は、なんらかの証拠が残るものであるとすると、これ以外の取引は贈与ということなり、上記の相続処理をすれば済むだけのような気もしますが、話はそんな単純ではありません。
不動産などはともかく、お金の生前贈与の場合、生前贈与を受けた人がその事実を認めない限り、その立証は容易ではないからです。
また、仮に金銭の授受が証明出来たとしても、被相続人と生計を一にしていたり、同居していたりすれば、それが生前贈与に当たるのか?、それとも被相続人のための支出だったのか?について、その使いみちまでが争いの対象になります。