テレフォン人生相談 2021年12月2日 木曜日
相談者 「夫婦なんですけど養子になれますかね?」
塩谷 「あなたのご主人の同意が必要になりますけど、離婚すればご主人は関係ない」
養親、養子に関わらず、配偶者がいる場合には養子縁組に同意が必要。
養子縁組によって相続人が増え、扶養義務が増える。
いずれも配偶者の利益を損なう。
もちろんケースバイケースで、そうならない養子縁組だってあるんだけど、法律は一律に合意を必須としてるわけだ。
ちなみに、養子縁組の解消に配偶者の同意は必要ない。
意外かもしれんけど、上記の逆だと考えれば分りやすい。
配偶者にとっても元の状態に戻るだけで、利益を損なうことにはならない。
たとえ借金を相続することになったとしても放棄すれば済む話。
つくづく法律はロジックだ。
塩谷弁護士 「ご主人には遺留分があって、半分お金でくださいと言われる可能性がありますが、あなたが養女になれば相続人になりますからあなたの権利は強くなります」
子の遺留分は法定相続分の二分の一。
つまり養女になることで夫の遺留分が養女にならない場合に比べて半分に減るわけだ。
塩谷弁護士 「税金も遺贈を受けるよりも、相続税とかも安くて済む・・ま、相続税かかんないぐらいの財産かもしれないですけど」
相続人以外に遺言で遺産を譲ることを遺贈と言うが、このとき適用されるのは相続税。
贈与税ではない。
なんだけど、遺贈は相続税が2割増し。
もっとも、相続税の基礎控除が夫が一人っ子だとしても3,600万円なので、これを越えなければ無税なので、相談者の場合、あまり関係ないかもしれない。
養女になればその基礎控除額も4,200万に増える。
あと、遺産が不動産の場合、遺贈の場合は相続税の他に不動産取得税が掛かる。
市場価格の概ね6,7割の3~4%。
市場価格1,500万円につき3、40万円。
養女になればこれを払わなくて済むわけだ。
いずれにしても、この夫にとってはマイナスでしかない相談者と親の養子縁組。
夫婦のままだとこれに夫の合意が必要だって言うんだから、順序は離婚が先だ。
相談者: 女59歳 別居中の夫64歳 義父91歳 義母90歳と同居中 長女39歳 長男36歳