テレフォン人生相談 2020年8月20日 木曜日
20年前に離婚し、長女(8歳)は夫が、次女(5歳)は相談者が引き取るものの、住まいが近くで頻繁に行き来はあった。
2年前に相談者が再婚し2時間ほどの距離に移ったことを機に、次女も家業を営む元夫の下へ移り、長女と姉妹2人暮らし。
これで相談者は寂しくなってしまった。
娘に打ち明けたところ、以前からテレフォン人生相談を娘に勧めていたこともあって、逆に「人生相談に相談したら?」と軽口。
改めて言うほどでもないが、相談者の感情を疎外感という。
孤独感にも似ているけど、孤独感がボッチそのものに対する忌避感(きひかん、嫌で避けたい感情)であるのに対して、疎外感は集団の中で抱く忌避感のこと。
たとえば3人で居て、そのうち2人だけが共通の話題で盛り上がったときに残り一人が抱く感情。
私はなんともない?
それはない。
本当にそうなら、あなたは変異したヒト科の亜種(変種)。
だって疎外感はヒト科の本能だから。
人間は社会的動物で、これによって他の動物より劣る身体能力を補い、石器時代を生き延びてきた。
ヒトが自然と集うのは、孤独感や疎外感が耐え難いものとして私たちの脳に予め埋め込まれているからだ。
種をつないで行くために。
もしや、かつて存在したかもしれない疎外感を持たない自立心旺盛なヒト種は進化の過程で滅びてしまった。
人が疎外感を抱いたとき、その回避行動の一つが集団において仲間を見つけること。
パーティでボッチになったとき、別のボッチを見つけると少しホッとする。
話しかけて会話でもすればその場の疎外感は消える。
「あなたには夫がいるじゃない」
これは相談者にとって何のなぐさめにもならない。
パーティで疎外感を抱いている人に「ウチに帰れば家族がいるじゃない」と言っているに等しい。
疎外感から逃れるための仲間は、集団の中のメンバーだけ。
パーティの参加者でないとダメなわけだ。
だから、再婚夫がどんなに愛する人でも疎外感を打ち消す対象には成り得ない。
もっとも、相談者はその対象を見つけたようだ。
長女。
目を患った長女は相談者にとってこれ幸い。
付き添いなどのサポートは家族と相談者をつなぐ命綱。
相談者本人は全否定するだろうけど。
要は人の振る舞いには色んな無意識の裏付けがあるということ。
もちろん親切心や愛情と誤解することが皆んなの幸せ。
番組は相談者に自立を促すのだが、それはヒト科であることを否定することでもある。
ちなみに社会的とされるサルにも疎外感はある。
じゃあ、群れる動物にはすべて疎外感があるのか?と言われればそれは極論。
イワシやバッファローは別の本能によって群れている。
長くなるので戯れ言(ざれごと)はこの辺で。
パーソナリティ: 柴田理恵
回答者: 三石由起子(三石メソード主宰、作家・翻訳家)
相談者: 女53歳20年前に離婚したバツイチ 2年前に再婚した夫68歳 長女28歳と次女25歳は姉妹で同居中