辛い地元を離れ転職重ねたアスペ長男が親の心配よそに借金してハマるマルチ商法

テレフォン人生相談 2020年8月28日 金曜日

長男27歳は17歳のときにアスペルガー症候群の診断を受け、専門学校卒業後、都会で仕事を転々とし、現在無職。
水道料金や税金の滞納など40万の借金を抱えている。

生活力がないので姉と暮らしながら、障害者支援センター、ハローワークなどを訪ねて自立を目指しているものの、マルチ商法(*)にハマっていて辞めようとしない。

(*)マルチ商法: これは被害者や取り締まる側が用いるネガティブな言い方。法的要件を備えていれば正当なビジネスモデルで、その場合はネットワークビジネスと呼ばれる。

 

姉が神。
同居するだけにとどまらず、弟を自分の仲間にも迎え入れて、仕事先まで頼んで。

で、本当に仕事を紹介してくれる友人が現れるのが何気にすごい。

類は友を呼ぶ。

 

成年後見人制度の3段階。
被後見人の症状の重い順に、後見、保佐、補助。
(3つ合わせて後見人等)

ちなみにアタシは真ん中の保佐人。
母親の。

3つのうちどれになるかは裁判所が決めることなんだけど、医師の意見が強く反映される。

なんだけど、最初に言うと、診断を受けるまでもなく、相談者の長男に認められることはない。
一番低い、補助も無理。

理由は長男本人が望まないから。

大げさでもなんでもなく、成年後見人制度は、民法の根幹を成す所有権とバッティングする制度。

だからこそ裁判所は後見開始(後見人等の決定)に慎重で、各地裁の専任チームが事に当たる。

一番重い後見と、保佐、補助とでは大きな違いがあって、それは本人の意向を後見等開始の要件とするかしないか。

後見だけは意思表示が無理、あるいは他人に容易に誘導される状態なので、本人の意思とは関係なく後見が開始される。

一方、保佐と補助は自分の財産の処分について他人に委ねたくないと本人が思えば、いくら医師の保佐相当、補助相当の診断があっても裁判所がそれを認めることはない。

相談者 「判断能力に欠ける」

ここがすごく難しいところで、
長男 「商品はいいので買いたい」

これはしっかりと判断してるの。
相談者とは単なる意見の違い。

誤解を恐れずに言うと、人には
無駄遣いをする権利、
騙される権利
がある。

言うまでもなく、ギャンブルで破産しようが、宗教団体に全財産を寄付しようが本人の自由。

身内が私的に関与するぐらいは何の問題もないが、そこに国、司法が関与しないというのが、民主国家たる所以だ。

もちろん程度問題ではあるのだけど、洗剤や鍋やサプリを売ってセレブ生活を夢見ようとも、実際に成功者がいる限り、たとえそれが天文学的な確率であっても詐欺ではない。

馬鹿にされ、線路に寝かされ、地元を離れた長男が、夢を語られ「君にもできる」、「いっしょ頑張ろう」と暖かく迎えられたらイチコロ。

マルチの入り口が姉の友人だったなんていうオチじゃないことを祈るだけ。

自分消費に商品を買うだけなら目くじら立てなくてもいいんじゃない?

マルチ商法から目が冷めた娘がたどり着いた先。
ネットワークビジネスで失敗した娘の今の仕事を知ってショックを受ける女58歳

 

パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 中川潤(弁護士)

相談者: 女57歳 夫60歳単身赴任中 都会で暮らす長女29歳 長男27歳 次女23歳と同居中

今日の一言: すべての結果には過程があります。

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